旧天神川 2008/01/13


おいおい、これって、降りられるよ・・・。
ずさっ・・・・ずるずる・・・・・どさっ。
ちゅうか、降りるなよ、私。
てか、ど−すんだよ、降りたはいいけど、濡れてて登れないよ、おいっ!!

こうなったら”毒を食らわば皿まで。
とことん行ってやろうじゃあ〜りませんか。
と言うわけで合流点から旧天神川を逆行する事となった(なってしまった)。

左が旧天神川、右が西高瀬川になる。
西高瀬川の方は、今回は逆行しない。(と言うか、思いっきり普段履いてる靴で来てるんですってば、俺。こ−いう河川、この時期靴下浸水絶対に避けたい。)
と言うのは逆行できても七条の月読橋、それ以上の逆行は人目に付くという観点からも嫌だからだ。
ではこれから普段はなかなか見られない、河床からの視点で見ていただこう。
一旦コンクリ−トに固められ、都市との接点を絶たれると、河川というのはこういうふうになる、と言う見本みたいなものだ。

左側が児童公園。少なくとも2mの落差があるので(よっぽど度胸のある奴じゃない限り)アクセスは不可だろう。
それ以上に、柵を越えて何でわざわざ川に入ろうとする人がいるのか。
そんな人はいねぇ。
こんな時間に、こんな所を歩いている私以外は・・・・

先程の西中橋である。
う−む・・・・なんかいつもの平面的な橋が、立体に見えるよ、このアングル。
しっかし・・・何というか・・・臭い(涙)。
一言で言うならば、石鹸水の旧くなったような、形容しがたいニホヒがする。
良いカホリとは絶対に言いたくない匂いが、これから先、ず−っと鼻についた。
ゴミも色々と落ちてるし、河底の水はなんだか形容しがたい灰色と深い緑を混ぜたくったような色だし・・・。
完全に都市河川、と言うか、下水の排水路でしょ。これ。

親水性は全くなく、どことなく乾いた感のある旧天神川。
いつも水が全くと言っていいほど無いからね・・・、そういう感じがするのも当然かも知れない。
住宅地の中を抜けていく河川。
言いたくはないが、おそらくどこかの住宅のものと思われる排水溝から、汚水がそのまま出ていた。
右は西浦橋。
あっという間に八條通近くまでやってきた。

入れなかった屈曲部もこの通り。
ただ、足場が非常に悪くなり始め、仕方なく河床から一段上の平場を歩いたり、河床に降りたりして進み始めたのもこの辺りからである。
通常時は水が無いが、増水時、つまり下水が溢れるほどの一時水になった場合は、何処までの水量になるのだろう?。
そう考えると、結構怖いものがあるぞ、ここ。
今、増水したりしたら、簡単に逃げられないもん。
 これについては後ほど、実際の水量が明らかになる場所があったので記す事とする。
にしても・・・なんか退屈だな・・・・。
あんまりにも、コンクリ−ト以外の何もないので、お伝えすべき事柄が何もない。

八条通りに架かる橋の下に来た。
この埋められた窪みって・・・、元の橋体・・・・か?。
いやいや、それではあまりにも橋自体が低すぎる。
西高瀬川の橋であれば、あり得ないとは言わないが、こちらは低いと言わざるを得ない。
諸元標などがないか探しては見たものの何もなかった。
探し方が悪かったのかも知れないが・・・。
橋の下は水位が増える以外に水に当たらないせいか、コンクリ−トがきれいな状態だった。
毎日この上を何千台と車が通っているがそれを支えているこの橋台に敬意を払う人は一人もいないだろう。
あるのが当たり前。それは非常に恐ろしい状態だと思うのだが・・・。

八条通りを越えると向田橋が見える。距離にして100m程だが・・・徐々にと言うか、更に足元の状況は悪化してきた。
もう、河床とその一段上の平場を行ったり来たりして、何とか進む。
合流点まで辿ったレポ−トでは私有地が河岸にぴったりあって、入ることが出来なかったが、今回は河川の中を通って、戻っていく。
水が少ない時期だからこそ出来る芸当だと思う。
梅雨や夏の時期には河川の中に入ることは避けたい、と言うか、避けた方が賢明だと思う。
京都の夏、夕立でもあった日には多分一気に水量が上がると思うから。
京都の地形上、北が高く、南が低いので夕立があれば南方に水が一気に流れる。
合流式下水道では、下水に入りきらない水がこういった河川に流れ出すこととなる。
 多分、旧天神川は、その放水場所の一つではないだろうか。
つまりは下水路なわけね、ここ。

向田橋を越えると今度は住宅地内の屈曲した流れに入っていく。
河床から一段上の平場は雑木や水がしみ出している場所などで歩行不可能と判断、この辺りから河床を歩いている。
水は全く流れていないが、溜まっている水の中もまた、歩きたくないと思わせるに十分な色と匂いだった。

・・・これ、ここまで水が来たって事だよね・・・・このゴミの付き具合と言い・・・。
少なくとも、こんな所に、こんなふうにゴミだけが付いたりする事は、多分無い。
と言うことは140cmから150cmの水位はあった・・・と言うことだよね・・・・。
結構背筋に寒いものがあった。
だってこの灌木、平場に生えているんですってば。
と言うことは平場も半分以上水没するという事じゃないですか。
頼むから今、増水というのはやめてくれよ・・・と祈りつつ先へ進む。
今増水されたら逃げるに逃げられない。
レポ−ト開始地点までもう300mを切っている。
頼む、行かせてちょ−だい。

隧道・・ではなく、多分上にあるセメント工場の施設の拡張部分か何かだと思う。
やはり、雨水や日光に晒されていないコンクリ−トはきれいなままだった。
多分、旧天神川が三面張りになったときは、この色だったのだろう、コンクリ−トも。
今では灰色に煤けているが、そんな時代もあったのだ。
いつ頃のことなのか分からないが・・・。

住宅地のど真ん中である。先程全く入れなかった区間。
ここ、夏の間は多分、蚊の温床になっていると思う。
今の時期だからこそ、これだけ匂いも少なく、草木も生えていないが、夏になれば、絶対にこの河床は歩きたくない。

この辺りも住宅地の中である。
両岸の淵までぴったりと建物が建っている。
この辺りは一部の排水が直接川に流れているらしく、特に匂いがきつかった。

レポ−ト開始地点まで戻ってきた。
この辺りは歩道部から河床部まで落差は3m近いと思われる。
もう少しで、本当の終点。
しかし、あの穴は何処に通じているのだろう。
と言う思いを抱きつつ穴の前まで来た。
 巾は1.5m位。高さは1.2m位か。
さて、これは一体何処に通じているのか?。
謎である。はっきり言って、全く予想が付かない。
もし、旧天神川の流路に沿って通じているのだとしたら、結構な距離がある。
e”、中はどうなってるのかって・・・・?。

ちょっとだけよ−ん。
おそるおそる中に入ってみる。
入り口から5mぐらい・・・。けど。
これぐらいで勘弁してください。
ここ、なんかやばい。匂いはきついし、何より、湿気は高いし、直感的に感じました。
ここは危ない、と。
明らかに行き止まりと予想できるもの。
それは殆ど風が吹いていなかったことだった。
どこかに通じているのならば必ずと言っていいほど風が吹くはずである。
が、この穴にはそれがなかった。
と言うことは、行き止まりである可能性が高い。
まあ、何処に行こうと、確実に下水の末端には通じていそうだ、と言うのか基幹に通じていそうだから怖い。
それに、これ以上書いてしまうと、変なところからお叱りをくらいそうなので、これ以上は書きません。
脱出。
暗渠と明渠が重なる川。
だが、どちらにせよ、人々からは忘れ去られた川。
そして、忘れ去られてもなおも、水を通し続けなければならない川。
河床に赤い帽子が落ちていた。
誰からも忘れられて、おそらく落とした当人でさえも、忘れているのではないか。
あって、当たり前の存在になって忘れられるというのは、幸せなことなのかも知れない。
だが、何故あるのかも分からずに忘れられると言うのは、不幸、だろう。

旧天神川 完

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