羽黒神社 旧参拝道     2007.7.20


福島県福島市、ここには一つの山がある。
福島盆地のど真ん中、熊野、羽黒、羽山をまとめたその名前は信夫山と言う。
 信夫山は不思議な山でもある。
先ず、その姿が凄い。
北には松川、南に荒川、祓川、そして、東に阿武隈川。
つまりは市街地のど真ん中、言うならば福島市のど真ん中にこの山はある。
京都市内に置き換えると、京都駅から北に行けば、四条烏丸附近に標高270mの孤立峰が存在していることになる。
最も高いところで270m付近ではあるが、信夫山トンネルが標高75m付近と言えば丘陵や丘、岩塊などではなく、れっきとした山、である。
 さらにはこのような市内のど真ん中に有るにも関わらず、開発はされてはいるが、ほとんど手つかずの状態で自然が残っている事だ。
近年に発生した南斜面での山火事は信夫山バイパス(と私は呼んでいる)道路の直ぐ上部から烏ヶ崎辺りまでを焼き尽くし、残念ながら今も傷跡は消えてはいな いが、その他の場所では、まだまだ人間の手がそれほど入っていない状態を保っている。
 その信夫山には神社がいくつもある。
今回紹介するのはその中の一つ羽黒山の羽黒神社に或る新旧二道の参拝道のうち、古い方の旧参拝道である。

新参拝道は傾斜も抑えめであり、なんとか自転車でも上りきることができる(と思う)し、散歩やハイキングがてらには最適なコースじゃないかと思います。
旧参拝道は何というか、とにかく凄い道。
それは車が通るという意味で。
色々なサイトを見ていて書いてあった。
斜度30%超!!である。
私も最初 は信じられなかった。
が、現地に行って、目の当たりにして、目をひんむいた。
挙げ句の果てに挑戦した(但し自転車は押して)
斜度30%と言うと実際とんでもない急坂である。
約30mの高低差を100mの距離で登ったときの感じと思っていただけるとわかりやすいか。
なあ、この坂どう思う(;´Д`) すごく・・・急坂です・・・(。-ω-。)
上の写真は京都府京都市北区鷹峯にある坂ですが、この坂でさえ傾斜は21%。
しかし実際坂の麓から見ると、それこそ畳み掛けるようなのぼり坂。
見た瞬間に”ぜったい無理!!”と自転車を降りたもん、この傾斜21%の 坂でさえ。
それを遙かに越えたイッちゃてる坂、それが斜度30%超と言う坂。
しかもまだ直線的な登りであれば良いんです。
鷹峯の坂は直線的な登りだったし道の先まで見えていたから。
しかし、この坂は違う。
登りでは何と二つのヘアピンカ−ブ、と言うのか、傾斜が付いたまま曲がっていく”三次元 立体カ−ブ”がある上に、更に上り一方通行ではないので、下手をすれば上から車が降りて来るというおまけ付き。
更に言っておくと強烈な下りの部分で離合出来るスペ−スは・・・ほとんどナイ!!
とにかく凄い坂ですよ、四輪車が通るという意味で。
最初に言ってしまうけど、登りも下りも二輪駆動車ではまず無理。
登りは4輪駆動車なら行けるでしょうが、下りはそれこそ4輪駆動+ELクラッチ+エンジン ブレ−キ併用でもしないと危険。
徒歩はいいですが、自転車はやめておきましょうね(-_-|||)

福島駅
で、なんで京都の河川を中心に取り上げている私が、福島県の物件を取り上げるのか?、ですが
単純に私が、幼い頃をこの福島市で過ごしていたからです。
実際この坂を登ってましたし、久々に京都から福島に行く機会があったので、レポートしてみました。

信夫山麓の税務署横から護国神社、信夫山天満宮と登り、図書館美術館方面からの道を合わせ、登ると、このような三叉路にさしかかる。

ここを左に行くと月山、烏ヶ崎方面へ、途中に第二展望台や、公園の中を通りつつ、九十九折れで登っていく新道。
右へ行くと羽黒神社、周回道路へ、途中にしのぶ荘という旅館を過ぎる新参拝道。
そして、真ん中が今回紹介する旧参道になります。

今でこそコンクリ−トで舗装され、石や、型で凹凸を付け、滑り止めを施してあるものの、その昔は舗装もなく、幅も現在の半分程度で地面むき出しの道であっ たらしいです。
つまり冬などはそれこそ恐怖の滑落地獄だったと言うことです。

ここを登り切るといきなりの急カ−ブ、と言うより、これ、傾斜をものともせずに造ってある、三次元立体ペアピンカ−ブ!。
下りの場合はノ−ブレ−キなんて絶対無理!!。
ドリフトなんて論外。
そのままカ−ブを曲がりきれず新道に落ちていくことになるでしょう・・。
だってここ、まさにU字型のカーブだから。

まだまだ登っていきます。
蛇行しながら、凄まじい登りで羽黒神社へと向かっていきます。
この辺りの傾斜はそれこそ本当にトンデモナイ。
歩いていてもかなり の前傾姿勢になるし、自転車を漕いで登ろうなんぞすれば、正真正銘の自殺行為ですな、これ。

わかります?。
これ、地面に対して水平に立って撮影して、これだけの傾斜があるんです。
もうね、ねじり込むようにしてカーブが存在しています。

二発目の三次元立体U字カ−ブが待ち受けています。
とにかく傾斜が凄いし、これ、明らかに車道じゃないような気がしますが、実際聞いていると地元の 方は車で上り下りされているようです。
心配なのは冬の凍結時や梅雨時期の苔等による滑りをどうされているのでしょうか?。
だってこれ滑ったら、まず助からないような・・・。

で、登り切るとそこは雪国・・・ではなく、山中の平坦地にでます。
恐らく春や秋の気温の涼しい時期に来れば大変気持ちの良い場所だと思います。
が、いかんせん今は七月の下旬、湿気をたっぷり含んだウェットな熱風が顔や身体を優 しく 撫でていってくれることで更に汗が滴り、不快な気分になるばかりです。
けど、こういった山中の隠れ里的な雰囲気、とっても好きです。

この先に見えるのが羽黒神社の鳥居になります。
今もそうですが鳥居を避けて通るように参道が付けてあります。

立派な造り・・で支えの支柱まで用意されています。

鳥居の寸前左側に信夫山北側から登れる七曲がりが合流。
ぱっと見ただけでは恐らく道が続いているとは解らないと思います。
いま登ってきた旧参拝道は恐らく最強クラスの坂道(車道)です。
が、もし七曲がりに車が入れたとすると、あちらはあちらで、最狂の 車道になること間違いなしの道なのです。
幸か不幸か四輪車は進入不可能ですが・・・。

これも地面と水平を維持して撮影・・・もう、どんだけ傾斜がきついんですか?

鳥居を越えると一気に傾斜がきつくなります。
というか、直線でこの傾斜はもう凄まじいの一言。
明らかに登る側を疲労困憊させにきています。
しかもこの傾斜、所々で緩くなる以外、いっさい手抜きをしていません。
いい仕事してますねぇ〜( ´,_ゝ`) 。

一直線に先が見通せます。
が、先に行くためには「今ここにある急坂」を登らなければなりません。

しかもこの傾斜の両脇には家々が存在しているのです。
もう、どうやって車を出し入れされているのか解らないです。
だってこの坂で、万が一はち合わせになったりすればかわしようがないですもん。
No Escape(逃げ場なし)。
そう言う意味では、行きは旧参道を下り、帰りは新道から下ってくる等と決めておられるのかもしれませんが、真実は謎のままです。

最後の急坂を上りきると、そこは新道との合流点になっています。
最後まで傾斜は手を抜いてくれません、本当にありがとうございました Orz。
もう、さっきからひーはーひー・・・はーーー・・・と息が上がって・・・とにかく・・・しんどい。
右には手前から三宝荒神と三王宮、左には一宮神社があり、決して浅くはない歴史を忍ばせます。


ここで旧参道は現道と合流して、いったん終わっていますが、階段を上っていけばガレ場を過ぎた後に石段を登り、大わらじが奉納してある羽黒神社へと至 ります。
大わらじ祭りは例年8月に行われる、とてもパワフルな感じのするお祭りでした。
信夫三山暁まいりは毎年2月10日頃に大わらじをこの山頂にある羽黒神社へ奉納します(この撮影にも参加しました)
祭りと人々と山との一体感がとても好きになった行事でした。

しかし一般的にこの道は徒歩専用と考えた方がいいでしょう。
だって普通の車で、万が一侵入したりすると身動きが取れなくなる恐れがありますし、何よりも危険で す。
実際、私も最初に行ったとき大わらじはどちらの道から奉納されるのか分からずに自転車を 押してこの旧参道を上がりました。
はっきり言って死ぬ〜とおもいましたよ、ええ。
何せトンデモナイ傾斜で自転車のブレ−キをかけつつ、ずり落ちていくの を無理矢理抑えて、ごり押しで押し上げ(最後は引き上げ)ましたから。
自転車で上がった事を大わらじを作っていらっしゃる御山敬神会の方に話すと、みんな目を剥かれて・・・

そんなもん、大わらじはそんなところを上がるわけがない。
わしらが子共の頃は旧道は今の半分程度の広さで、そりゃあ大わらじを担ぎ上げるのは苦労し た。
途中の段差があって、引き上げること自体大変な苦労があった。
そのうち新道が出来て、そちらから運び上げるようになった。
もし今、旧参道を使って上げるというようなことになれば、間違いなくみんなあの坂でへばっちま うよ。


道理でσ(^_^;)。
あの坂自体が無茶な設計をしてるわけですな・・・。
実際、行ける方は行ってみると良いと思います。
あまりの凄い坂に圧倒されるでしょう。
そこが普通の歩行者専用の道としても、かなりの急な坂ですが「ここを車が通る」と聞けば目を丸くせざるを得ない、それぐらいの坂ですから。
歩いて登っても、どうやっても20分は掛かりませんし、散歩がてらに歩くにはきついですが、なかなか良い運動になることは間違い有りません。


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