万世大路 旧高平隧道2007/08/02

ここに一枚の地図を拡大した画像がある。
とある地図を加工したものであるが、注目して欲しい。

国道13号線の高平隧道、つまりは現道の隧道が見えるその下に、もう一本道があり、その先に隧道が描かれている。
”えっ、こんなところに隧道なんかあったの?”
私も最初はそう思った。
しかし前回(7月24)にその地点を通ったとき、既に旧道のあった山自体が切り崩されているのを見て、旧隧道の存在は絶望的と思っていた。
しかし、この地図には書いてある。
しかも今年の最新版だ。
"一応行ってみよかな・・・”
と言うわけで2007/08/02、行ってみた。

15:14,円部側より検索開始(上の写真は現道と旧道、円部分岐付近の写真です。)
迂闊にも写真を取り忘れてしまったので出来うる限り文章で補いたいし、藪こぎしている最中、最後は写真どころではなかったので写真は少な目である、す まぬ。

国道13号線を栗子トンネル方面に進んでいくと最初に現れる隧道が高平隧道。
 全長403mで山をぶち抜いている。隧道の右側(北側)では、現在東北中央自動車道の建設真っ最中で、10tダンプがじゃんじゃん出入りしている。
ので、入り口には情事二人のガ−ドマンが立っておられた。
暑い中ご苦労様です。
一方の旧道、万世大路では山を南に迂回するように、山裾に沿って走り断崖すれすれの道で、高平隧道があり、そのまま杉ノ平に続いていた。
しかし、前回見てきた場所から見た写真では・・・・
どうみても何もありません、本当にありがとうございました Orz
旧道が途切れていた場所に必要なのは、隧道などではなく、橋梁だと思う。
深く谷状にえぐられており、これを削ったのか、と言う疑問がするほどの豪快な削り方。
私は砕石の採り方などはあまり知らないが、これ、明らかに削りすぎじゃないの?、と突っ込みたくなる地形になっていた。
少なくとも、向こうに見える山の裾野は昔の山の高さだったのだろう。
生えている植物からしても、短期間で生えるようなものではなかった。
しかし、削って出来た段々畑の方も、管理されなくなってかなりの年月が経っているのではないだろうか。
何しろ、この夏真っ盛りの時期に入っているので、藪が無くなる時期に来れば何か分かるかもしれないが・・・。
 少なくとも言えるのは杉ノ平側から見た限りは、隧道なんて影も形もない。
で、話は円部から現道にさしかかる道の手前に戻る。
まっすぐ進めば現道に繋がる急坂があり、脇に逸れれば、いったんは現道に沿って奥へ続く道がある。
何かの工事現場の事務所のような建物が建っているが、そちらには行かずに、奥へと進むと・・・左手に果樹園があり、轍もそちらに続いている。
しかしそこでも曲がらずに、遂に轍の消えた道を行くと山の裾野で行き止まりになる。
が、それは車や自転車が行き止まりになるだけで、少なくとも徒歩出歩ける道は続いてい・・・・るはずだ。
はずだった・・・のに何で、いきなりの茨の藪なのよぉ〜(泣)
  恐らく果樹園の関係だと思うけど、ビニ−ル製の糸状の物が張ってあり、恐らく獣よけの類だと思うが、嫌な気分にさせてくれる。
その上、この果樹園の周りには、きっちりと網が張られており、内部に立ち入ることは不可能(立ち入りたくもないが・・・)。
その上、犬が一匹、その張り 巡らせてある糸に繋がれており、近づくと、吼えるし、駆け寄ってくるし、怖いの何の・・・。
しかし、この廃道区間の入り口でも、路肩は多少崩れてはいるが、ぎりぎり一車線ずつの幅がある。
ただ、立ち入った時期が真夏であるから、想像したとおりの「藪」だった(涙)
しかもこの日、何故かまだ熊鈴を手にいてれていなかった私だった。
人気のない、山裾、熊鈴無しで更に盛夏・・・・。
こえぇぇぇぇ〜〜〜〜〜!!!
熊さんに出会ったぁ〜、と、某音楽にありますが、絶対出会いたくないです、ええ、特にこんなところでは。
やばすぎるもん。
助けは呼べないし、先ず誰も気付きそうもない場所だし。
そんな事を思いつつ、藪をかき分けて進むと、いったん旧道は北側に向きを変える。
で、もう、密林然とした森の中に突如として現れる、コンクリ−トの擁壁。
その上から聞こえてくる現道を行き来する車の騒音。
恐らくここがトンネルの寸前の位置に当たると思う。
少なくとも5m以上現道とは高低差があるはずだ。で、ここで道は徐々に山裾の方へと逃げていく。

そして現れる・・・柵・・・って、何ですかこれ?。
 道の真ん中に奇妙な落下防止用の”頑強”な柵が出現。
明らかに周りの朽ち果て方からすると異様に新しい。
これは明らかに廃止後に建てられたものでしょ。
だって、明らかに路肩から1m前後内側に建ってるんだもん。
しかし張られているワイヤ−にせよ打ち込まれているアンカ−にせよ、十分な強度を保っていそうだ。
しかもその区間は日陰であり、藪もそんなに酷くなく、さくさく進めた。
だが、もはや道としての機能は完全に失われていると言っても良い。
路肩は崩落、山側も崖崩れが何カ所か起こっていた。
しかも、途中で、谷を越える橋梁のなれの果てに出会った・・・

”ぎ、ぎょぇぇぇぇぇ・・・・”
もし車で通っていたら、確実に事故が起こってますよ。
てか、暗がりでこんなもんにあったら歩きだって危ない。
道の真ん中ぱっくり。
下まで落ちてらぁ〜・・・。
更に、また道はカ−ブしていくし、何カ所下の橋梁状の建築物の真ん中が抜けて谷への滑り台となっていた。
振り返って撮影したのがこの写真。

 もはや歩道としても機能を無くしてる道。
この先は更に山側を削って無理矢理通した場所のようになる。
路肩は崩壊、山側からは土砂の崩落、更にかつての路面上には夏草がもう、すんごい勢いで生い茂っているし。
更に、誰だ−こんなところで木を切り倒してその まま放置プレイしているのは〜。
倒木で塞がっていた場所もあるし・・・。
虚苦怒痴狸院と、昭○社の担当者でてこいっ!!!。
これの何処が通行可能な道として地図上に表記できる道なのかっ!!


もしなにも知らない家族連れの車が立ち入ったらどうすんのヨ!、これ。(否、立ち入れないけどね、既に入り口からして)
車の字の付く物では”無理!”。
肩車で通りたい方は通ってもいいけど、自己責任でどうぞ。

季節が夏以外なら徒歩でも行けなくはないと思う。
が、夏は徒歩でも厳しい。
 ちなみに私は河原の藪を漕いだ事はあるが、山の藪は全くの初心者。
が、いきなりこのやばいクラスの藪に入ろうとしていたのだった・・・。
言ってしまうなら、ドラ○エでLV1なのに、いきなりドラゴンぐらいの相手に出会った感覚。
とあるサイトの言葉を自分なりに改変して書くなら”全くの初心者山藪サ−ファ−が、突然、伝説の大藪、稲村ジェ−ンに出会ってしまった”ような感覚だ。 (余計に訳わかんないって?)
徐々に日の当たる場所が増えてきて”いやぁぁぁぁぁぁぁ!!”と唸る事が増えてきた。
写真なんかとても撮っていられない。
特に私の使っている一眼レフタイプは両手を使うことが必須なので、これは厳しい。
両手を開けて、全身で藪の中を突破しないと、あ・ぶ・な・い。

あ”ち”い”

   もっと嫌なことは背丈を超えるような小木の下に入ると、猛烈な湿気と共に恐らく体温を超えているであろう空気にブチ当たっていかないと先に進めない。
もう、全身あっという間に汗まみれ、蜘蛛の巣まみれ、木々の青汁まみれ。
しかも、ついていないのは、この日は午後からここに来たので、進めば進むほど西日に当たり続けることだった。
”あっち−・・・・。”
気温は多分体温を上回っていると思う。
ここに来る前に、道路横で見た温度計の表示が32℃であったにも関わらず、だ
地図上では直ぐ横に川が流れているのだが多分落差は20m以上あると思う。
ちょっと涼みに小川(谷を流れている河川名)へ・・・なんて事をするとそのまま帰ってこれなくなるだろう。
だが、こんな時のためにリュックの中には2Lのスポ−ツドリンクがある。
重いのだが、我慢して持ってきて良かった。
 呑む呑む、あっという間に1/4ぐらいは呑んでしまった。
それに続いてどっばーと汗が滝のように出る出る。
これはやばいと思ったです、はい。
実際、熱中症が起こるとしたらこんな環境下だし。
ますます日当たりは強くなり、木々は勢いを増して逆に下を通れるようになり進みやすくはなってきた。
今度は道幅自体が狭くなってきたと言うかこの落石防止か落下防止かは知らないけど、柵がこっちに寄ってきているような・・・・最後までそれは分からなかっ た が・・・
10mほど前方がいきなり開けているのが見えた。
もう路面状況は落石と堆積物、生えた木々によって滅茶苦茶。
まるで迷路の様相を呈していた。(と言うか、こんな時期に入る方が悪いんだね)
「ふはふは・・・・」なんかさっきから体が少しだるいんですけど・・・・。
これって・・やばいなぁ・・・・。
もう、この時は早くこの藪から抜け出したい一心だったように思う。
谷川からは僅かに小川の音が聞こえてくる。
そして、視界が開けた前方には・・・・

道無いっ。道無いよ、これ!!。
恐らくここから先が採石場によって削られてしまったのだろう。
道の終端から先はごっそりと谷状に削られた地形に変貌していた。
ちなみにこの突端から、採石場に挟まれたあちら側の突端は見えない。
間に台地があるようだ。

恐らくここから先に旧高平隧道はあったのだと思う。
旧隧道は現隧道の1/3程の長さであったらしい。
とすると、130m前後ぐらい。
だとするとそれだけの長さの直線や、造れそうな地形はここから円部側には無かった。
それに、あんなグネグネとした断崖の縁に隧道は無理だと思う。
 現道として使われていた時期でも、恐らく過剰なまでの補修が必要な場所だったと思えてならない。
ここで残念ながら旧道は道としては途切れている。
さて、撤収しようか・・・といかないのが今日の私。
実は・・・乗ってきたフェラ−リママチャリ、採石場の向こう側に停めてあるの・・・。
戻るのめんどくさいし、旧山神橋というのも行きたかったし・・・。
けど正直、やばい、と思いました。
だって、この先100m以上この今まで体験した以上の藪をアップダウンしていく地形に沿って通らないと自転車を止めた位 置まで行けないのですよ。
最初だって、これ3m以上降りていかないと先進めないんですけども・・。
これは・・・・迂回だ。
即座にそう判断しました。
この気温から少しでも抜け出したいし、とにかく空気の通っている場所にさえ出れば、何とかなりそうだった ので。
右手を見ると手がかりとなる木々が豊富にあり、登れそうな崖が・・・。
 ええ、登りましたとも。
なんか自分でもとんでもない所で、とんでもない事をしているような気がしてきた・・・。
一日で山の藪こぎだとか、崖登りだとか・・・私はどうなっていくのだろうか(笑)
恐らく採石場からこちら側を見たことがある人なら、ひょろひょろと生えている松、と言えば分かっていただけるであろうか。
そこにいる。
実はここから少し登ると大きな平場になっている。
そこは風が通り抜け火照った体をク−ルダウンしてくれた。
”あ”あ”〜ずずじい”〜”
言葉が全部濁点付きだが事実なのかだから仕方がない。
とにかく一刻も早く藪から抜け出して涼しいところで休憩しないと、ホントにやばい。
風に打たれつつ、ふと思った。
ここからだったら似非鳥瞰図を撮影できるのではないか、と。
で、早速実行したのが以下の画像になる。
”鳥”になったつもりでご覧いただきたい。
2枚の写真を合成した。

で・・・虚苦怒痴狸院と、昭○社の担当者でてこいっ!!!隧道なぞ、何処にも存在しないじゃないか〜っ!!
オマイラの目は節穴かぁ〜!!。(現地調査もきっちりしろYO)
もし杉ノ平側から車が入ってきてらど−するんだっ!!(いや、だから無理)
恐らく道があったとしたらこんなふうになる。
なっていたはずだと思う。

白い表示が道、赤が恐らくあったであろう隧道だ。
・・・。

”採石場はかつて現道の北側の山を掘っていた。が、南側を掘るようになった。
最初は山の上側を掘っていたが、下側を掘るようになって隧道はあっという間に 開削されて消滅したんだ。
現道開通直後は残っていたが、あっという間になくなった。”
山神橋手前のラ−メンショップで店の常連さん(70歳前後)の方から聞いた話をそのまま載せる。
で、事後報告になってもうしわけないが、採石場の方々、許してください。
迂回をするときに場内を通らせていただきました。
すいません。
 いつまでもこの平場には居られない。
西日の太陽が燦々と当たって暑いのだ。
しかしまた行く手を今度は10mクラスの崖が・・・(滝涙)。

崖の途中は脆く、持っただけで崩れる場所もあった。
何とか崖にへばりついて生えている草木を使いつつ、全身を使って斜めに移動し、採石場の削った突端によ うやくたどり着いた。
こわかった・・・・。
しかし、これ、よく削ったね。見上げると・・・

すげ−。
それ以外の言葉出ないし、要らない。
降りた場所は木の陰になっていて藪ではなかったものの・・・あっついで〜(涙)
更に深い藪、しかも今度は葛付き(涙)。
ひっかかってひっかかって、どうしょうもない。
もう、写真を撮るのも何も忘れて、最後は雄叫びを上げ、なりふり構わず走りました。
16:25 杉ノ平側、採石場の広場の端に脱出。
到着ではなく、最後は脱出と言ってもいい状況だった。
その採石場の縁を歩きつつ削られた斜面を撮る。

”よ、よかった−、”と心底思えた。
だって、こんなに谷が落ち込んだり台地状になっていたりするところ、直進していようものなら、それこそ熱中症にやられていたでしょう。
滑落や、転落の恐れも十分にあるし、第一、熊さんがいないとも限らないし・・・。
 本当に帰ってこれなくなってたかも・・・。
そんなことを考えると、背筋に冷たいものが走ったりしたわけです。
これだけ人里に近い場所でも、何か起きればやばい、と言うこと。
今日一日で、藪漕ぎはするわ、ロッククライミングに近いことはするわ、なんかやりすぎ!。
 待っていてくれたフェラ−リママチャリはすっかり西日を浴びてサドルが”アチチ”状態になっていました。
”はぁ・・”とため息を一つつい て押して歩く砂利の坂道。
そのまま無言で押して現道に出て自転車に跨り、中野第2トンネル手前、駐車場まで行って、奥の水場でひたすら涼みました。
(ラ−メンショップはお金がなかったので寄れなかった)



それと、こんなところで書くのも恐縮なのですが、実は採石場の突端から、広場に至る間でカメラの部品を落としてしまいました。
もし行かれて、更に見つけちゃったよ、と言う方は是非ご一報お願いいたします。

プラスチックの部品に2枚のレンズを張り合わせたもので、大きさは100円玉程度です。
nikonの部品を使ってます。上の写真のような感じです。
終了


検索物件一覧(その他)に戻る
inserted by FC2 system