万世大路・到達編1(未完)    2007/08/07

お詫び 到達編は、正に自分との限界への挑戦そのものでした。そんな中で、正直写真なんか撮っていられない場面が多く、失 敗編よりも大幅に撮影枚数が減っています。
出来るだけ文章で補いますが、ビジュアルな面での情報不足はご容赦いただきたく思います。また未完と題したのは先に書いたとおり、掲載できうる写真があま りにも少ない為、正直、文字のみで構成されている章がほとんどとなってしまっており、完成した読み物にはなり得ないと判断したからです。
福島に出向くことがあれば再び訪れようと思っています。その時に写真を付け加えたいと思っておりますので、どうぞ、気長にお待ち頂きたく思います。


先日は熊の恐怖に負けて退却せざるを得なかった。あの後帰るときも、背後に異常な恐怖を 感じたことを付け加えておこう。
カーブにくる度に後ろを確認し、行きの約1.5倍の時間を使い、少し寄り道もしたので、福島市内に帰った時はなんと17時30分を回っていた。
 しかもその足で、なにを考えたか信夫山の烏ヶ崎に自転車で上って夕日を眺めるという端から見ればバカきわまりない事をやっていた。
そして、それ以後、大草鞋の資料集めに専念し、なかなか万世大路踏破の計画は実行できないままになっていた。
(むろん、その手前には数回行って、高平隧道跡は踏破したし、一定の資料も集まってはいたのだが、決行できぬままになっていたというのが正直なところ。)
 今回の取材は2007/08/08に終了しそのまま京都に帰ることになっている。
もはや残された時間は、無い。
決行日は08/07と決めた。
その前日に熊鈴を買いに行くと、ホイッスル付きの熊鈴を見つけ、購入する。
食料は昼食と非常食を持ち、空のペットボトルを持っていくことにした。
前回の帰還時に大滝宿跡に入る入り口で、水の補給場所を見つけたので、そこまでは荷物を軽くする為の策だった。

前日、夜半過ぎから雨。
しかもかなり激しく降った。
当日が雨であれば、さすがに中止せざるを得ないので祈るような気持ちで窓を閉めて、眠りについた。
 果たして、雨は上がっていた。2007/08/07 7:00
諸処の事情で、いつもと違う宿に泊まっていたので、先ず食事をするために定宿の旅館やまとに向かう。
 そのときに泊まっていた旅館の女将さんが、”使ってないマウンテンバイクがあっだぁ〜、よかったら使ってくれぇ〜”
という鶴の一言。
もちろん快く使わせていただくことにした(^o^)/。
 結果的に、このマウンテンバイクがなければ先ず踏破は不可能であっただろうと思う。
行きだけでなく、帰りにもこの上なく役に立つ存在になった。
そして7時30分。
旅館やまとに着いて、朝食をとる。
途中、話し込んでしまい、結局宿をでたのは8時30分頃になった。

雨は山間部をのぞいては降らないだろう、という予報を見たが「あんの〜・・・・行くの思 いっきり山間部なんですけど・・・・」と一人でつっこんでいたのはもちろん秘密だ。
 予報通りで、青空ものぞいている旧国道13号線沿い。
遙か中野の方まで見渡せるぶっ飛んでまっすぐな道。
そこをひたすら、私は走った。

さて、ここからは先を急ぐよ。
十六沼公園の脇を通り小川を越え、中野不動尊、現道と合流。
円部を抜けて、高平隧道手前に来ると・・・・・。
なにやら相互通行をやっている。
これはラッキー、と思ったね。
栗子方面へ向かう車がとぎれてから進めば後ろから車が来る心配がなくなるんだもん。
 案の定高平隧道は前から来る車だけで、後ろから抜かれることはなかった。
杉沢橋を越えラーメンショップの前でいつもの店員さんに挨拶。
たぶん、向こうも気がついてはいるだろう。
 山神橋を越えると、中野第一隧道、これもあっけなくクリア。
右に見える工事現場を見つつ、中野第2隧道にくると、後ろからじゃんじゃん車が来たのでまたまたタイミングを計る。
何せ789mの延長があるので、できるだけ追い抜かれないようにする為には、速度を上げて一気に駆け抜ける事が必要。
 車が切れたところで、進入開始。
相変わらず長いが、後ろから車がこないと言うだけで、精神的にはだいぶ楽になる。
そして、徐々にきつくなる勾配も、マウンテンバイクの変速を軽くすることでクリアーできた。
 隧道を抜けると、次はしばらく橋梁が連続するエリアにはいる。
その途中、道が大滝宿跡に入るため、分岐する。
私は大滝側に入り、入り口付近の水子屋で、2Lと、0.5Lのペットボトルに水を満タンに補給した。
これから先は荷物が重くて大変だがここまでは相当にいいペースで進んでいる今9時30分。
 補給を済ませ、先に進む。
次の大滝第一隧道。これまた短いのだが・・・・。
なにを考えているのかこの隧道、先にも書いたが、歩道となるべきところに排水溝を通していて、20cmぐらいの段差が付いている。
こんなの怖くて走れないではないか。
しかし、幸いにも、その短さ故に、車もこず、すぐに通過できた。
そして、じりじりとした登り。
これはマウンテンバイクの利点がフルに生かされ、全く止まることなく大滝第二隧道に進む。
ここを通過すれば、東栗子、西栗子トンネルへのアプローチトンネルはすべて通過する。
タイミングを見誤り、大型車の一団に追い抜かされたが、もう、トンネルを抜ける頃には追い抜く車は走ってこなかった。
トンネルを抜けると、もう、延々とした登り。
標高は再び500mを越えた。
マウンテンバイクでもなかなかにきつい登りだった。
ここで、いくつかの心配事がでてくる。
 先ず、天気の問題。いつの間にか青空は姿を消し、薄い低い雲に覆われた空になっていた。
次にマウンテンバイクの問題。後輪を固定しているねじがゆるんでくるのか、走っていると”う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛・・・”と振動を感じるのだ。
ここから先、登りも下りも、振動を感じたら、ねじを締め直すというやっかいな作業が追加された。
 さらに、私のおなかの問題。どうも半袖で走って、汗をかいたので、”冷えちゃった” みたいなのだ・・・。
それでも何とか登り切った国道13号線。
東栗子トンネル前。
もう、自転車と、私のおなかは予断を許さない状態になっていた。
”やばい、とにかく・・・・○○○ないと”
そこで、万世大路にアプローチする北側の建物の陰で、”以下、掲載自粛”





・・・ふー、すっきりした。躊躇していた時間は実に30分近くになっていた。
10時45分 マウンテンバイクとともに踏破に向けて上り始めた。

さすがに車の轍がある道だ。
勾配が許せば自転車も軽く進める。
前回の徒歩で来た時とは比べ物にならない時間の短縮ぶりだった
最初の数段のヘアピンカーブを越えると、万世大路の本来の路面にでる。
いきなりの広い路面に、少々違和感を感じつつもさらに登る。
熊鈴とホイッスルをフルに活用して進むと、ヘアピンカーブを曲がったところ、たぶんこの上の道路の直線上にある二つ小屋隧道から吹き出てきたと思われる冷 気が吹き出してきた。
 いきなり、他の所とは違う空気でびっくりしたが、もう、こんな所に来たのかと思うとつくづく文明の利器の力に恐れ入ってしまった。
そして、長い直線を登りヘアピンカーブを曲がって、再び長い直線を走っていると、もうこれ以上上の道はないと思えるほど、山腹に道は近寄っていた。
11時15分。ひんやりしてくる空気の中、二つ小屋隧道到着。
 隧道内は昨日と変わらず変化がなかった。いや新たに崩落でもしていようものなら、その場で引き返していたに違いないが・・・。

ただ、あれだけ雨が降ったのに、トンネル内はそれほど出水していなかった。
 短期の雨では長期の雨に比べて影響は少ないのかもしれない。

なにも見るところ無く、あっさりクリア。
二つ小屋隧道、栗子側からは非常に冷たい空気が外の熱い空気と触れて、霧が吹き出してきていた。
ここから先、あっと言う間に鳥川橋についた。
あいも変わらずぼろぼろの橋である。橋の前後は、雨が降った跡は沼地状になっているので注意が必要。
ここから道は急になるが、マウンテンバイクでも何とか登れた。
 先日引き返した看板前の先も、今日は軽く通り過ぎる。
熊鈴とホイッスルを、自分の耳がきーんとするぐらいまで使って進む。
そのせいか、動物の気配は全くしない。
ただ、辺りには風の音、その風に擦られる木々の葉の出す音、その気にとまっている蜩の音。
そして、自分のマウンテンバイクが、地面をかんで進む音ぐらいしか聞こえない。
 否、もう一つあった。遙か北西、栗子山辺りから嫌な音が聞こえてきたのだ。
どう考えてもあれだ。
お空を下している時のあの”ゴロゴロゴロ・・・・・” と・・。
 あぶないな〜・・・。
こんな時、所で雨にでも遭ったりしようものなら身の危険まで考えられる。
先ず、濡れると帰りは殆ど下りになるので、体温低下が懸念される。
しかも、おそらくこの先に雨宿りができそうな場所は”無い”。
今まで走ってきた中で唯一できそうなのは二つ小屋隧道のみ。
(鳥川橋もできるだろうと、言いたいかもしれないが、雨降りに橋の下に潜り込むなど自殺 行為である)
 もはや、雨は避けられない、と、この頃から思い始めていた。
 とにかく私は本能的に先に栗子隧道に行った方がよい、という決断を下した。
どうしてそういう決断をしたのか、未だに疑問ではあるが、半ばそう、本能で感じるものがあった、としか言いようがない。
先日引き返した先は2段のヘアピンカーブを伴った九十九折れだった。
そこそこきつい勾配で大分と鳥川橋より高度を上げる。
そして、ヘアピンカーブを登り切るともうそこは稜線に近い場所だった。
周りの木々も緑が濃いが、それ以上に、上には、薄雲に覆われた空が面積の大多数を占めていた。
 そういえば、空気も流れている。
ほぼ、山の上にでてきたのだった。
 そして、最後のヘアピンカーブを曲がったその先の藪にまたまた看板を発見。

・・・まあ、なにもこんな所に看板を立てなくても、しかも、これ、誰を対象にたてているんだろう。少なくとも、現道時代に建っていたはずもないだろうし、 看板自体が新しすぎるし・・。
その看板を横目に、かなり大きなRのカーブを曲がっていくと・・・・・え”っ、く、下りですか?。
な、何で下り?。
これ、帰るときには登りになるんですけど・・・・(汗)。
大丈夫か・・・・私。
道は相変わらず四輪車1台分の轍がきれいについて先へと続いている。
稜線上、南側には二つ小屋や現道方面の山々が見えて、青空がでている。
が栗子山方面には薄暗い暗灰色の雷雲が見え隠れして・・・・おいおい、風がでてきたって。
ヤバイよ、これ。
頼むから降らないで・・・こんな場所で雨にでも降られたら。
降らないでくれと祈りつつ、さらに下る。
もう、降り出すのも時間の問題だろう。
道の右側には背の低い木々が、左側には法面と背の高い木々が徐々に強くなってきた風にその躰を揺らしていた。
稲光こそ見えないものの音だけはかなり近づいてきた。
そして、カーブを曲がっていくと・・・・・・え”っ”。
行き止まり・・・・さらに、車ある・・・・・。

続く

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