稲荷山トンネル 2008/06/01

国土地理院 航空写真 整理番号 CKK-87-1 地図番号NI53-14-3 撮影コ−スC9 写真番号18の一部を切り取り画像処理を施した。
原 図はこちら
稲荷山トンネルである。
京都市内と山科を結んでいる路が何本あるかご存じだろうか?。
五条通と三条通と滑石越えである。
はっきりというと、この二本+一本で一般道は完結している。
完結していたと言った方がいいのかな、今までは。
1995年、周辺の渋滞緩和を目的にこのトンネルは着工された。
が結構な難工事、と言うのか、周辺環境の悪化を懸念する住民の反対運動も起き、工法を変更、当初予算の2倍に近い870億円と言う膨大な費用がかかったト ンネルになる。
当初は2003年に完成予定だったが、前述のこともあり、5年遅れで開通した。
しかしよく13年も工事をしたね・・・感心する。
そして2008/06/01 17:00 遂に供用開始の時が来た。
このレポ−トはその直前、2008/06/01、トンネルウォ−クなるイベントがあり、11:45〜13:15の間、私も稲荷山トンネルを歩いてきた。
ので、正確に言うとレポ−トではない。
結果報告みたいなもの。
・・・予定外だったのだ。
このイベントに参加したのが。
実はこの日、14:00よりTOKIWA氏との合同河川調査オフがあり、その時刻に上鳥羽の堀川明渠部に待ち合わせていた。
トンネルを往復して京都川出口にたどり着いたのが13:15分・・・・。
どひゃぁぁぁぁぁ〜〜〜〜、となったのは言うまでもない。

さて、検索開始。
場所は十条通り、鴨川を越えて直ぐの所にある花き市場の周りだ。

もう間もなく供用開始になる真新しい道路。
これから嫌になるほど使い込まれていくであろう道路。
そしてこれから先、二度とこれだけの人間が歩くこともない。
車だけの世界になるのだ。
この道は。

でかでかと掲げられた(トンネルウォ−ク)。
ちなみに周りは結構な人出である。後から後から、歩いて来るわ歩いて来るわ、一体どこでこのイベントの情報を仕入れたのか。
と言うか案外新聞に載っていて私が見落としていただけのなのかも・・・。
(というか私自身も、偶然この場に居合わせただけですが・・・)

トンネルにはいるまで結構な距離がある。
いや、歩きだからそう感じるだけで、車だとあっという間だろう。ほんと。
しかし、道路上には車の列ではなく人の行列が出来ている。
なんか凄くシュ−ルな光景であった。
・・・時間がゆっくりと流れていたね。
この時のこの場所は。

料金所も今日は無料開放。じゃんじゃんばりばり通りまっせ〜。
ちなみに料金は¥450だそうだ。
ETCによる割引等もあるそうなので、着けていない人はこの機会にでも。

料金所を越えると、次は登りである。
上もおそらく何らかの道路が通っているのであろう。
と思ったら、よく考えればこれより南の東高瀬川沿いに下っていく道のようだ。
 実はこの南側にはかつて鴨川が蛇行して流れていた。
その淵、と言うか、岸に沿って通っていたのがこの道の先に当たる部分なのだ。
そして、昭和初期の地図を見て驚いた。
蛇行は直され、現在の流れになっていたのだ。
おいおい、あの流れは・・・と思って見直すと、水鶏橋(くいなばし)は架け替え、道路や何もかもがかつての流れではなくなっていた。
これはレポートせねば、と思った私であった・・・。

そしてやってくる東高瀬川。
完全に三面コンクリ−ト打ちの河川となり、もはや昔の面影などなにもない。
ここに昔在ったときの川の面影など、私は分からない。
こうなってからの姿しか見たことがないから。
そう考えると、今の子供達というのは、どんどん旧い物が姿を消し、新しい物に囲まれて幸せ、と言う反面、昔の姿を知らないと言う不幸もある。
やはり写真の重要性の一つ、記録という物は偉大である。
写真はいわば、時を封じ込める容器の様なものだと私は思う。
そして、封じ込めた写真をこうやって広く公開できる時代に生まれた幸運に感謝する。

上は2008/01/03の東高瀬川の様子である。
この時はまだ長靴を用意していなかったので途中の排水が出ているところ以上に進むことが出来なかった。しかし、何らかの水がこの付近で合わさって下流に流 れているのは確かである。
河床のヘドロも・・・この時はびっくりした。

さて、もう入り口が見えている。
稲荷山トンネル 全長2537m。待避場所は2箇所、非常口も多分2箇所。800mごとにあるのかも知れない。
立派な坑口である。まさにまだ排ガスにまみれていない、新品のまっさらと言った感じがする。
最も私が行ったことのあるトンネルと言えばこんなや、こんなのだからまさに、それとは正反対の姿を見ていると言える。

さて、入り口から中に入っていくと京都側からは少し下り気味になっている。これはこの先に琵琶湖疎水があるからでは無かろうか。
その河床部に振動や衝撃の影響を回避するためにやや掘り下ったのかな。
その割に先程まで検索していた三の橋川など、どう見ても琵琶湖疎水、河床部の直下を隧道で通過している。
余程強度に自信があるのか、それとも無神経なだけなのか・・・
それにしても、このと同じスペックのトンネルがもう一本この南側にあるのだ。お金かかってるぅ〜。
なんとも豪華な道路ではあるが、その取り付け部は強引であった。時間の都合上撮影していないが、十条通りを鴨川に渡って直ぐに左折でこじり着けるようにし てこのトンネルへの取り付け道路が造られている。
これ、絶対なんかの事故は起こるぞと思えた。

ここからは何というか・・・・あんまり書くことがないんだよ−、ホント。
だって、真新しいトンネルの臭い、新品の看板や消火設備、それに排ガスが全く付いていないコンクリ−ト。
それ以外には、ただただきれいなトンネル内部、としか書きようがない。
よって、ここからはただ単なるコメントを打ってみる。

送風設備も、消火設備もそこそこの間隔で設置されている。
天井の円筒形の筒は通風装置だろうか?

ここが伏見区と山科区の区界。結構というかかなり京都よりである。

淡々と続くトンネル。静かかなと思いきや、たくさんの人の歩く音、靴の反響音、声など、結構うるさい。

途中の待避所は、この時に休憩スペ−スやトイレが設置されていた。
トイレ設置は正解。
だって、往復で5kmだと、小さな子供達はちとやばい。

お分かり頂けるだろうか、下の路面がこの位置から変化しているのが。何らかの変更があったのか?。
 聞くところでは双方向からシ−ルドマシンで掘り進めたので、この辺りが中間点だったのかもしれない。
少なくとも疎水のように両方向+中間点から縦穴を掘り中間点からも双方向と言うようなウ ルトラCはやってはいないようだ。稲荷山トンネルは。

車で走れば2〜3分の内に通過してしまうであろうこのトンネルも、歩くと結構かかる。まあ、色々と見ているからだろうけど。
実際はなんというかオレンジ色の光で満ちあふれているのだけど、あまりにもどぎつい色なため、ホワイトバランスをいじって自重しています。

半円形をしているが、この形状が最も圧力に抵抗できる形状であるらしい。
しかし、人が多くて・・・平和だ・・・。

漸く2/3、山科側出口まで800mの所までやってきた。

非常口は反対側の壁です。だそうだ・・・。
確かに。
しかし、この辺りの非常口は地上に出るとどの辺りになるのだろうか?

この辺りが最深部にあたるようである。おそらく東山山塊の尾根があるのだろう。だとすると、かなり山科側である。
ということは先ほどの非常口も地上まで150m近く階段を上らなければならないのか・・・?!
それはそれで・・・とっても嫌な非常口かも・・・。

突然、左右の壁に緑色のペイントが入り始めた。おそらくこれドライバ−の視覚に何かを促すために施されているのであろう。

出口まで400m。もうすぐだ。

今度は矢印状にペイントが入り始めた。これが普通にだったりしたら興奮 してスピ−ドを上げるかも知れない。
色の持つ視覚作用というのは結構大きく、私のSiteが背景に薄い水色を採用しているのもそこにある。
白と黒、対極色同士ははっきりとしているのは良いのだが、長時間見ると疲れてくる。
しかし対極色同士から若干色相を廻し、彩度を加えると、案外疲れにくく、見易くなる。
それに、薄い水色と言うのは藍色や青色のように寒色系のイメ−ジではないので、見ていても、そんなに主張しない色である。
逆に過激な主張をするのがVIVID、純色系である。赤 青 黄 緑 紫 橙 藍 、これに少し明度を加えた物は抜群の視覚効果を持っている。
が、そんなのばかりでは疲れるだけだ。

あらあら、横のあれ、なに?!。
近寄ってみたが金網の向こう側はコンクリ−トの壁で閉ざされていた。
横穴の類ではないようだし、おそらく排煙装置の何かかもしれないが、詳細は不明。

遂に稲荷山トンネルを抜ける。
「あの坂を越えれば〜」と言う題材の教材を中学の頃に読んだ記憶がある。
ではこれに当てはめると・・・。
あのトンネルを越えると山科に出る・・・・・そのまんまじゃん・・・/(-_-;)。

トンネルと抜ければ初夏の日差しが容赦なく降り注ぐ夏の世界であり、トンネルの中とは大違い。
やっぱりおてんと様の下は”A・TSU・I
けどこれ・・・ど〜すんのよ。
ここまで来たは良いけど、ど〜やってもどんのよ?。
また歩き・・・・てか、既に12:40を廻っているのですけど!。
TOKIWA氏との待ち合わせの時刻は14:00に上鳥羽なんですけどもっ!!。
更に一旦家に帰ってス−ツに着替なきゃならないし、お昼ご飯もまだなんですけどもっ!!!(滝汗)。
慌てて踵を返す私。

山科側はかなり大きな掘り割りの奥に坑口があるようだ。
戻るために2.5km・・・歩かないと(涙)。

今度はかなりの早足で来た道を戻っていく。行きと帰りを区別するためにホワイトバランスを変えてある。帰りは赤みを強くしてみた。
実際はもっとオレンジ色の光をしている。

後は淡々と戻るだけ。新品のトンネルというのは突っ込みどころが無くて困る。
人が少なくなってきたと思ったら、どうやらこのイベント13:30に終了するようだ。
と言うことはもう、トンネル外部からの歩行者は入れていないのだろう。人も少なくなってきた。
それにアナウンスで13:30に終了という声が後ろの方からも聞こえてくる。

ご苦労様でした。俺。
13:15分京都側坑口に到着。
しかし・・もう、これはやばい。
時間がないっ!!。
ダッシュ!!

慌てて戻る私。
と言うか、ロケットダッシュ状態。
この後私はここから20分ちょいで自宅に帰り、10分少々で着替えと昼飯を済ませ、梅小路バイパスと鍋取川バイパスを利用して14:06分に上鳥羽に到着 出来た。
稲荷山トンネル、車両通行前の様子。もう、これだけの人がこのトンネルを歩くことはないし、ここは歩行者とは隔絶された場所になる。
末永く、安全に、快適に、使われることを、切に祈る。
稲荷山トンネル(完)

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